スタートアップ企業は大きな成長を達成するために様々なことに取り組む必要があります。
利益に直結する業務にも力を入れる必要がありますが、法務を疎かにしてはいけません。
この業務がいい加減なものになってしまうと、大きなトラブルを引き起こしてしまうリスクもあります。
目標を達成するために利益を追求するための業務に打ち込みたくなるかもしれないですが、まずはスタートアップ企業が法務で気をつけておかなければならないことを知っておくべきです。
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自社に法務部門をきちんと設けておく
既に十分な体制が構築されている会社もあるはずですが、急成長した場合は体制構築が不十分である可能性が高いと言えます。
急成長を遂げた場合は今まで経営者がこの業務まで担当していた可能性がありますが、大きな成長を遂げたり継続的な発展を期待できるようになると、経営者だけでは手が回らなくなるケースが多いです。
担当者を新たに採用することで、自社に法務部門をきちんと設けておくことがリスク回避に繋がります。
専属でこの業務に打ち込んでくれる担当者を用意することができれば、重大な書類をつくり忘れてしまったり、必要な作業を見落としてしまったりするリスクを下げることが可能です。
知識を有しているだけではなく、実務経験がある人材を見つけて採用することができれば、より安心して業務を任せることができるでしょう。
既存サービスの契約書や利用規約を見直しておく
既存サービスの契約書や利用規約を見直しておくことも大切だと言えます。
これまで提供していたサービスであれば、契約書や利用規約はそのままで良いと思うかもしれませんが、会社の成長の影響を受ける部分がないとは言い切れません。
そのままにしておくと、後から変更点や不備があることに気づき、トラブルに繋がる可能性があります。
手間が掛かってしまうことではありますが、既存のサービスの契約書などを細かくチェックして必要に応じて修正を加えていくことが大事です。
細心の注意を払って契約書や利用規約を作成する
新しいサービスを提供する場合は、細心の注意を払って契約書や利用規約を作成することが大事だと言えます。
スタートアップ企業は他の会社とは一味違ったサービスを提供しようとしていることが多く、前例がないビジネスに挑戦するケースも多いです。
前例がないのであれば、契約書と利用規約作成の段階で参考にできるものがありません。
後からサービスを規制する法律があったことが判明することもあるので、注意深く内容を決めていく必要があります。
内容に問題がある状態でサービスの提供を開始してしまうと、ビジネスを続けることができなくなったり、取引先や顧客との間にトラブルが起こったときに不利になったりする可能性があるでしょう。
調査を怠らないようにして不足のない内容にすることが大切ですし、その分野や法律の専門家からも意見をもらったりすることが大切だと言えます。
最初から法務顧問を見つけておく
自社だけで完璧にこなすことは難しいと感じる場合、トラブルを招きたくないと思っている場合は、最初から法務顧問を見つけておくことが大事です。
契約を結ぶと報酬を支払う必要があるため、コスト節約のために専門家への依頼を避けるケースが多いと言えます。
確かに、顧問契約は決して安いものではないと言えるでしょう。
スタートアップ企業であったとしても、資金状況によっては支払いの負担が重くのしかかってしまうこともあるはずです。
けれども、社内の人材だけでどうにかしようと考えると無理が生じます。
新たに専門の部門を設立しておけば問題ないと思うかもしれませんが、知識やスキルが乏しい社員が担当者であればミスが発生しやすいです。
能力のある人材を確保したつもりでも、担当者が1人だけでは二重チェックができずにミスに繋がってしまうこともあるでしょう。
部門があるかどうかに関係なく、専門家と顧問契約を結んでおけば代わりに業務を行ってもらうことができたり、問題がないかどうか定期的にチェックしてもらったりすることができます。
また、法関係の問題が発生することがあったとしても、顧問契約を結んでいれば力になってもらうことが可能です。
問題が起こってからサポート者を探す必要がないので、いざというときにも安心だと言えます。
まとめ
スタートアップ企業は大きな発展が期待できるため、つい利益と密接に関わっている業務に力を入れがちです。
それも大切なことではありますが、法務が不十分であればトラブルを引き起こすことになり、そこから会社の評判が悪くなったり取引先を失ったりすることもあります。
今後の成長を大いに期待することができる会社だからこそ、万全の体制を整えておくことが大事です。
部門の新設や既存契約書の見直し、契約書などの新規作成時の調査や専門家との顧問契約などがリスクを回避するために重要なことだと知っておきましょう。
こうした点に気をつけておくようにすると、スタートアップ企業が法務関連で失敗をする可能性が低くなり、安心して企業活動に取り組むことができるようになります。